Author: Akiko Mori
いいニュースはないですが、2か月に1回のミャンマー出張をルーティンにしています。新年明けて最初のミャンマー出張が終わりました。
写真のダラ大橋ですが、かなり前から話には聞いていましたが、ようやく完成の目途がたったようです。同橋が完成すれば、ヤンゴンからダラを経由して中部エヤワディ地域との接続性が向上すると期待されています。周辺地域の住宅販売価格や賃料が高騰しているそう。
運転手なのに道知らない!?
事務所を縮小運営して久しいです。ヤンゴン事務所でも車両は借り上げず、外出に必要な車両はタクシーで対応しています。炎天下、または豪雨の中、移動するたびに流しのタクシーを捕まえたりや配車アプリでタクシーを呼ぶのは非効率だったので、今回、私の出張中は車両を借り上げました。
初日、スマホで行先を登録し、行先に出発する初対面の運転手を後姿を見た時、何か様子がおかしいな、とすぐ感じたのですが、聞いたら、1か月前にシャン州北部クッカイ郡という戦闘の激しい場所から避難してきたとのこと。「えー、じゃあ、ヤンゴンの道、知らないよね?」
私の行く先は、ほとんど過去にいったことがある場所だったので運転手に道順を指示することにしました。車両借料会社と契約したスタッフも苦情を申し入れたようです。運転手を明日から変えますか?と聞かれましたが、変えないことにしました。
道すがら、運転手から話を聞くと、
「自分の村は戦闘が激しく、兄は流れ弾を受け負傷した。」
「子どもが3人いて、うち2人はネピドーの学校に寮から通学している。送金が必要。」
「20歳の長男はシャン州南部にて料理人として稼いでる。仕送りをしてくれている。」
「ヤンゴン郊外の1軒屋に親戚とシェアハウスして生活している。」
「奥さんは、自分が鉱山で3か月働いている間に子供を置いて男と駆け落ちした。」
シャン州北部の戦禍が激しいのはニュースで聞いていました。もし、明日から運転手を変えたらこの人の収入はなくなると思い1週間つきあうことにしました。
結論、私の出張は問題なく終わりました。ある意味、がけっぷちの人の仕事ぶりには目を見張るものがあるものです。教育を受けていない運転手だと待機時間に自分の用事を済ましていて、車両に戻るのが一苦労。運転手が待機場所に見当たらないから電話で呼び出しても電話に出ないなど、これまでいろんなことがありました。今回の運転手は、約束した場所で必ず待機していて車両にスムーズに戻ることができました。電話をしてもワンコールで対応してくれて安心しました。
最終日、彼は出勤時のバスの中で携帯電話を盗まれたと聞いて胸が痛みました。偶然ですが、車両借り上げによって、シャン州北部で困難に直面する人々の現状をより身近に感じました。ミャンマーの平和と人々の笑顔が早く戻ることを願いながら、今回の出張を終えました。自分たちの立場や能力に応じて、彼らを支援し、より良い未来を築くために尽力していきたいと思います。