訓練生とのひととき Vol.8

Author: Akiko Mori

 

ランチタイムを利用して、訓練生たちと気軽におしゃべりする時間を持つようにしています。20~30分ほどの短い時間ではありますが、画面越しに向き合いながら言葉を交わすことで、彼らが歩んできた道や将来への思いが、ぐっと身近に感じられるようになりました。

そのひとときは、私にとっても大切な学びと新しい刺激を与えてくれる時間であり、日々の楽しみのひとつになっています。

今回は、そんなおしゃべりの中から、特に印象に残ったひとりの訓練生のストーリーをご紹介します。


ご紹介するのは、エヤワディー地域チョンピョー郡村落出身、建設科の Mくん(23歳) です。

 

遠回りの中で見つけた道

2018年、G10に不合格となり、彼は学校を中退しました。その後の1年間は、実家で農業を手伝いながら過ごします。幼少時にお父さんがなくなり、母の農作業を手伝いました。やがてヤンゴンへ出て、建設現場の作業員として7〜8か月間働きました。

 

 

家族を支えるための選択

結婚を機に、安定した収入が必要となり、2021年から2023年にかけて単身でタイ国境ミャワディへ行きウェイターとして勤務。約10万円/月、稼いでいました。

しかし、ミャワディでは違法オンラインカジノや詐欺拠点の問題が深刻化し、地域の治安が大きく悪化。やむを得ずヤンゴンへ戻ることになります。

 

 

学び直しへの決意

ヤンゴンでは家族とともに暮らしながら、建設資材を扱う店で働いていました。そんな中、兄からパアン技術訓練学校の存在を聞き、専門的な建設知識を学びたいという思いが強まります。

特に関心を持っているのは、建設に欠かせない「コスト積算」の分野です。これまでの現場経験に、理論と専門性を掛け合わせたい——その思いから入学を決意しました。

 

 

大きな喪失を乗り越えて

単身赴任してこれまでに貯めてきたお金は、義父の肺がん治療のためにすべて使い切りました。しかし、懸命な看病の末も、義父は帰らぬ人となりました。

大きな喪失を経験しながらも、彼は歩みを止めることなく、前を向き続けています。

 

 

まとめ:経験を力に、未来を築く

将来はヤンゴンで、建設分野の自営業者(請負業)として独立することが目標です。

農業、建設現場、接客業と、これまでの多様な経験に加え、本校で身につける専門知識。それらを力に変え、自らの手で未来を切り拓こうとしています。

一人ひとりのこうした挑戦が、地域の復興と新たな可能性を支えていきます。