訓練生とのひととき Vol.7

Author: Akiko Mori

 

ランチタイムを利用して、訓練生たちと気軽におしゃべりする時間を持つようにしています。20~30分ほどの短い時間ではありますが、画面越しに向き合いながら言葉を交わすことで、彼らが歩んできた道や将来への思いが、ぐっと身近に感じられるようになりました。

そのひとときは、私にとっても大切な学びと新しい刺激を与えてくれる時間であり、日々の楽しみのひとつになっています。

今回は、そんなおしゃべりの中から、特に印象に残ったひとりの訓練生のストーリーをご紹介します。

ご紹介するのは、カレン州ラインブウェ郡村落出身、電気科の Hくん(20歳) です。

 

導入:偶然の出会いから始まった挑戦

2024年、G10を修了した19歳のとき、私はそれ以上勉強を続けたいと思えず、学校を辞めました。地元で電気工事の助手として働き始めたものの、将来への明確な道は見えていませんでした。

そんなある日、電気料金の支払いで地元の電気局を訪れた際、パアン技術訓練学校の応募用紙を目にします。この偶然の出会いが、私の人生を大きく変えるきっかけとなりました。

 

学び直しの決意と成長

上司や両親に相談し、入学を決意。助手として働いていたものの、理論的な知識はほとんどなかったため、「きちんと学びたい」という思いは強くありました。

入学後は、基礎からしっかりと学べる環境に大きな手応えを感じています。自分が本当に学びたかったことに向き合える日々に満足しており、中間試験ではトップの成績を収めることができました。

 

家族と未来をつなぐ技術

卒業後は、姉が暮らすパアンで働きたいと考えています。以前の上司からも仕事の声をかけてもらっており、学んだ技術を活かせる道が少しずつ見えてきました。

父は米農家であり、農閑期には大工の仕事もしています。将来、父が家を建てるときには、室内の電気配線を自分の手で担うことが目標です。家族の暮らしに、自分の技術で貢献したいと考えています。

 

不安定な状況の中でも前を向く

家族はパアンで暮らしており、弟が2人います。1人は僧侶、もう1人はまだ学生です。お小遣いが必要なときには、X線技師として働く姉が支えてくれています。

しかし、先月は実家の村で2度の空爆があり、両親は一時的に避難を余儀なくされました。将来は海外で働くことも考えていましたが、今は情勢を見極めながら、最善のタイミングを待っています。

 

まとめ:一歩を支える力に

不安定な社会状況の中でも、「学びたい」「家族を支えたい」という思いを胸に、彼は着実に前に進んでいます。

本校での学びは、単なる技術習得にとどまらず、将来への選択肢を広げる大きな力となっています。情勢が悪く、思ったようには物事は進みませんが、こうした一人ひとりの挑戦が、やがて地域の未来を支える力へとつながっていくことを信じています。