最近の就業動向

Author: Akiko Mori

 

2022年3月に卒業した33人の訓練生の就業状況について聞き取りを行ったので結果についてお伝えしようと思います。

 

本コースは、始まってすぐコロナ禍に見舞われ自宅待機となり卒業まで実に26か月かかったと言えます。2020年2月~2021年10月まで閉校となり、90人いた訓練生のうち戻ってきた訓練生は33人でした。33人での訓練が再開し、コロナ禍や治安悪化を受けてあまり外出もできずにストレスもたまる一方で色々とありましたが2022年3月に全員が卒業しました。33人の出身地の内訳は、21人がカイン州、12人がカイン州以外(ヤンゴン地域3人、バゴー地域2人、モン州2人、ラカイン州2人、カチン州1人、シャン州1人、マグウェ地域1人)です。

 

 

弊会では、卒業直後の就業状況を確認するために卒業1か月後、その定着率を確認するために半年後、2回のモニタリングを行っています。これまでは、訓練生の職場を訪問して直接、仕事をする様子を見たり、話を聞いたりしていたのですが、今回は治安の悪化もあり、近隣で働く以外の訓練生には電話をかけて様子を聞くことにしました。

 

モニタリング結果の属性は、「就職」「家業」「起業」「フリーランス」「海外」「勉強/研修」「無職」「連絡とれず」の8種類です。就業状況は、以下の通りでした。

 

  コース 入学者数 卒業者数 1ヶ月モニタリング 就業率 6ヶ月モニタリング 就業率
1 建設科 4人 4人 ・就職 1
・フリーランス 2
75% ・就職 1
・フリーランス 2
・海外 1
 100%
2 電気科 10人 10人 ・就職 7
・起業 1
80% ・就職 7
・起業 1
・海外 2
100%
3 自動車整備科 10人 10人 ・就職 7
・起業 1
80% ・就職 6 
・起業 1
・海外 1
80%
4 溶接科 9人 9人 ・就職 6
・起業 1
78% ・就職 7 
・起業 1
・海外 1
100%
合計 33人 33人 26人 79% 31人 94%

 

全体としては、1か月後平均就業率が79%だったのに対し、半年後には94%と就業率があがっていました。

 

建設科は、1か月後モニタリング時に連絡がつかなかった1人(ラカイン州出身)が、タイで建設業に従事していることが家族と連絡がつきわかりました。就業していた3人は6か月後も地元の同じ場所で仕事を継続していました。この3人のうち、2人は建設の仕事があると仕事につける日雇いのセミスキル労働者で乾季は仕事はありますが、雨期になると建設現場が動かなくなるため季節労働者とも言えます。卒業人数が4人と少なかったですが、就業率が100%、卒業後全員が就業でき収入向上していることがわかりました。日当は、10,000~15,000チャットほど。

 

電気科は、卒業生のうち6人が地元に戻り、2人はヤンゴンで電気工として屋内配線やエアコンサービスをしています。1か月後モニタリングで無職だった1名と連絡がつかなかった1名は、6か月後モニタリングでは2人ともタイで電気工として職を得ていたことがわかりました。電気科も6か月後には卒業生全員が就業できていました。日当は、7,000~15,000チャットほどで、月給は150,000チャット。ヤンゴンで働く卒業生は、給与以外に宿舎と食事の提供があります。

 

 

自動車整備科は、1か月後モニタリングでは8人が就業(うち5人はヤンゴンで就職)、2人は採用面接の結果待ちでした。6か月後モニタリングでは、採用面接結果待ちをしていた2人は海外で仕事をする準備にはいっていて1人は韓国語の勉強をしていました。地元パアンで日当5,000チャットをもらいながらワークショップで働いていた卒業生は、その後タイで就職したことが6か月後モニタリングでわかりました。自動車整備科は、就業率は1か月後も6か月後も変わらず80%でした。業種柄、ヤンゴンでの就職の機会が一番高く、月給150,000~170,000チャットをもらい給与以外に宿舎と食事の提供があります。

 

溶接科は、1か月後モニタリングでは8人が就業し、2人は採用面接の結果待ちでした。採用面接の結果待ちだった2人(うち1人はカチン州出身)は、6か月後モニタリングでは、マレーシア・タイでそれぞれ溶接の技術を活かす職を得ていました。起業していた卒業生も含め就業していた8人は、各自同じ職場(建設現場、溶接バイク修理工場、スチール工場など)で仕事を継続し日当7,000~10,000チャットを得ていました。

 

これまで、ヤンゴン・マンダレー大きな商業都市にて日系企業含む外資系企業に就職していた卒業生たちは行き先を周辺国の海外に変えている状況が浮き彫りになりました。就業率は思ったほど悪くなっておらず、今後もモニタリングを継続して卒業生の就業動向を見守っていきたいと思います。