カレン新年

Author: Akiko Mori

 

 

(遅ればせながら)新年あけましておめでとうございます。
2024年1月11日は、カレン新年でした。旧暦の月暦に基づいて計算されるためカレン新年は毎年異なりますが、だいたい12月~1月のあたりになるようです。新年を祝うとともに、稲作の収穫を喜び、次の実り多き収穫を祈るカレン族最大の祝祭でミャンマー全土にあるカレン族コミュニティで祝われます。

 

 

カレン正月の歴史

カレン族は、東南アジアの山岳民族の多くと同様、その起源は曖昧です。カレン族の伝説では、中国の黄河上流が発祥の地とされ、そこから南下して雲南省を経由し、今のミャンマーに移住したとされています。

私たちにとって、今年は西暦2024年ですが、カレン族が誕生した最初の日から年を数えるため同じではありません。紀元前739年に西暦を足し、今年はカレン暦2763年となります。

135の民族がいると言われるミャンーの中で、カレン族はシャン族についで2番目に多い少数民族で20以上のサブグループからなっています。ミャンマー下部に大部分が住んでいて、国境をまたぎタイ側にも多くが住んでいます。自分たちの先祖代々から受け継いできた伝統・文化に誇りを持ち、後世に残そうと努力しています。

 

 

カレン正月の伝統、習慣、催し

州都パアン市中心街から私たちの技術訓練学校まで行く途中にある広場でも毎年、新年を祝うイベントが盛大におこなわれています。毎年、広場の中央に「巨大はりぼて」がお目見えするのですが、これを見るのが毎年の楽しみでもあります。この地域でとても有名な高僧が毎年、どんなはりぼてを作るか決めます。今年お目見えしたはりぼては、一番上の写真にある「カレンの太鼓と水牛の角」でした。カレン族にとってこの太鼓は重要文化財の1つです。

 

 

新年を祝うために老いも若きも巻頭衣の華やかな民族衣装を身にまとい、友人や親せきを訪ねてまわりお祭りを楽しみます。都会に出て働く若者たちも、お正月には地元に戻り家族や旧友と楽しいひと時を過ごします。

 

 

夜明け前、早朝5時ごろにカレン族の国旗が掲揚され、式典では蒸したもち米が振舞われながら、カレンドーン踊り(伝統楽器に合わせる舞踊)やバンブー踊り(竹竿と竹竿の間をリズミカルにステップを踏む舞踊)が披露されます。そのほかにも、リーダーによるスピーチがあり、その年の優秀な生徒が表彰され、カレン族に関する伝統や文化が学べる展示もあり催し物は盛りだくさんです。

 

これらの催しに必要な予算はどこからくるのでしょうか?毎年、10月頃から懸賞付き宝くじを販売して市民からも資金集め、催しに必要な予算を確保します。今年も新車欲しさにたくさんの資金が集まったようです。地元のコミュニティが一体となって新年のイベントを支えている様子が伺えます。

 

新年のお祝いは、約1週間前から何日もかけて祝い続け、新年の日の夜に終わります。

これからもカレン族の豊かな伝統と文化が後世に受け継がれ、カレン族の伝統が輝き続け、豊かな実りと共に歩むことを心よりお祈り申し上げます。