訓練生のBMI(ボディマス指標)の変化

Author: Akiko Mori

 

 このプロジェクトのインパクトとして、前回のブログでは入学前と卒業後の収入データを取得し、量的に正のインパクトを生み出していることを示すことができました。今回は、豊かさの指標のひとつである健康面からもこのプロジェクトのインパクトを説明できるのではないかと考え、訓練生の入学時と卒業時のBMIデータを比較しました。
今回は、2022年11月~2023年3月まで技術訓練を受けた60人の訓練生のBMI変化についてご報告します。

 


食堂には、栄養教育のポスターも掲示

 


一日の楽しみは、3度の食事

 

 本校にくる青年らは僻地に住む貧困層の子がほとんどです。従って、ほとんどの子がやせ型の印象です。必要な栄養を食事からとっていない印象を受ける青年が毎回、多く入学してきます。本校では、訓練期間中、約半年間、1日3食無料で提供します。毎食、バランスの取れたメニューを考え、主食であるお米のおかわりは自由ですから、だいぶ栄養状態が改善されているのではないかと考えました。また、全寮制で1日のスケジュールが細かく決まっているので、規則正しい生活習慣が身につき健康改善に寄与していると考えました。

 


毎朝、体を動かすのが日課

 

準備したのは、センチメートル表示の巻き尺とキログラム表示の体重計と簡易血圧計。入学式の翌日、学校生活のルールの紹介や施設見学などオリエンテーションを行います。その時に、身長・体重・血圧を計測しました。(血圧については、計測するも、みなさん若いですし、特に異常が見当たらなかったので以下の報告は、血圧については省略します。)

 


訓練生も計測には興味津々

 

BMIとは、[体重(kg)]÷[身長(m)の2乗]で算出される値。肥満や低体重(やせ)の判定に用いるもので、みなさんも健康診断で毎回、確認する項目だと思います。

 

世界保健機関(WHO)の判定基準

 

世界保健機関の判定基準を参考に、以下を基準に集計しました。

18.49以下 低体重
18.5~24.9 普通
25.0~29.9  前肥満

 

結果は、入学時に低体重の比率が15%だったのに対し、5か月の訓練後は7%に減少。
入学時に「普通」「前肥満」の比率が合計85%だったのが、5か月の訓練後、93%に増加。
「前肥満」の人数が4人→6人に増えていて微笑ましい結果。

 

 

60人の中で一番BMI値が低かったのは、自動車整備科に所属する男子15.2(身長172cm/体重45kg)で明らかに痩せすぎ。3kg太って卒業していきました。ミャンマー全体のBMIについても調べてみましたが、男性18歳以上の調査結果では、低体重の割合が2016年14.9%、2019年13.6%とありました。これは、大都市も含まれる全国平均ですから、本校の訓練生は僻地、カレン州出身がほとんどでしたので、入学時の低体重の比率は妥当な範囲に見えます。そうなると卒業時の数値はかなり良い数字だと素人ながら思ってしまいました。
参照)
https://globalnutritionreport.org/resources/nutrition-profiles/asia/south-eastern-asia/myanmar/

 

一方、気になるのは、訓練中にかかった食費。予算を計上した時は一人/日当たり、3,944チャットと見積もりましたが、途中にインフレ、食材を含む物価が上昇したのもあり5,196チャットかかりました。(参照レート:1円=20チャット)

 

人生は、体が資本ですから、これから、栄養や健康面についても注意してすごしてもらいたいです。本校在学中に栄養知識を学ぶ機会の提供は今後の課題です。
まずは、稼がないと十分に食べられませんから、技術習得と収入向上を目指す。健康を維持し、仕事の経験を重ね、技能を高め続け、安定した収入を得ながら豊かな人生を送ってもらいたいと思います。