Author: Akiko Mori

2025年に入ってから、お互いのスケジュールが許す限り、ランチタイムに訓練生とおしゃべりをするようになりました。20~30分ほどの短い時間ですが、画面越しに話を聞くことで、彼らの考えや背景がより鮮明に感じられるようになりました。彼らがどんな人生を歩んできたのか、何を夢見ているのかを知ることは、私にとっても大きな刺激になり、新たな楽しみのひとつとなりました。今回は、そんなおしゃべりの中から、ある訓練生のストーリーをご紹介したいと思います。
今回ご紹介するのは、エヤワディー地域ラプタ郡の小さな村から参加している兄弟、建設科のAくん(21歳)と弟のSくん(19歳)です。
大家族の中で育って
彼らの家族は、両親と9人の子どもたちを含めた11人家族。兄弟(上は40歳から下は18歳まで)の中にはシンガポールやタイへ出稼ぎに行っている人もいて、なかなか全員集合はできないくらいの大家族です。AくんとSくんは、村で建設業を営むおじさんの手伝いをしていたところ、知人の紹介でこの訓練校を知り、参加を決めました。
学ぶ楽しさに出会う
訓練校での生活について尋ねると、二人とも口をそろえて「居心地がとても良い」と話してくれます。先生方の教え方は分かりやすく、これまで触れたことのない教材や器具に出会うたび、技術を学ぶ楽しさを実感しているようです。
横で展開される別の技術訓練にも興味津々のようです。建設科卒業後、兄のAくんは電気科、弟のSくんは自動車整備科にも挑戦したいと夢を語ってくれました。「合格できるかは分からないけれど、まずは建設科でしっかり技術を身につけたい」との言葉からは、まっすぐな決意が伝わってきます。
家族の支えと学びの実感
月に一度、家族に電話で訓練校での生活や勉強の様子を報告しているそうです。「もっと勉強したい」という思いを伝えたところ、ご両親も快く背中を押してくれたそうで、家族の温かい支えを感じます。特に左官の技術を体系的に学べていることが嬉しいと話し、「村に戻っても必ず役立つ」と自信を深めています。
将来への夢と希望
卒業後は、まずは訓練校の近くにあるパアンの街で経験を積み、その後は村に戻っておじさんの建設業を手伝いたいと考えているとのことです。村には働き手は多いものの、専門的な技術を持つ人は少ないため、自分たちの学んだことを活かし、仲間たちに技術を伝えていきたい――そんな未来への希望を語ってくれました。