卒業1か月後モニタリングの結果

Author: Akiko Mori

 

2025年4月に卒業した訓練生58人を対象に、1か月後の進路状況についてモニタリング調査を行いました。その結果をご報告します。

 

コース

入学者数

卒業者数

主な進路内訳(人数)

就業率

建設科

10

10

就業5、家業3、再入学2

80%

電気科

18

17

就業11、海外1、家業3、起業1、再入学1

94%

自動車整備科

20

19

就業13、家業3、起業1、不明2

89%

溶接科

12

12

就業7、家業3、再入学1、無職1

83%

合計

60

58

モニタリング対象58人

88%

 

高まる就業率とリピーターの増加

今回のモニタリングでは、全体の就業率は88%と、想像より高い水準を記録しました。学校には企業からの求人情報が多数寄せられており、生徒の希望(勤務地、業務内容、給与、福利厚生など)に合致する場合、就職先を紹介しています。

また、再入学者が4いました。これは、一度卒業した生徒が新たな技術を学ぶために本校へ再び入学したケースです。こうした“リピーター”が増加傾向にあります。かつては、卒業後すぐに働きたいという意欲の高い生徒が多く、再入学は皆無でしたが、社会状況の変化がこうした進路選択に影響していると考えられます。

現在は「2コースまで」の受講を上限とし、より多くの若者に学びの機会を提供できるようにしています。

 

 

 

「無職」 vs. 「帰省」

これまでのモニタリングでは、「今、仕事を探しています」と明確に無職と判定できる回答が多くありました。しかし、今回、そう答えたのは1名のみ、その代わりに増えたのが、「実家に帰省して家族の手伝いをしています」といった11人の回答です。

これは、学校近辺の見知らぬ土地で仕事探しをして粘るよりもまずは家族と共に安全と食の保障を確保するという優先順位の表れとも受け取れます。仮に「学んだ技術を活かして働いている人」を就業者と厳密に定義した場合、家業従事者11人を除く必要があり、就業率は約70%となる見込みです。

 

 

社会全体の傾向と照らし合わせて

世界銀行のミャンマーモニタリングレポート最新版(年2回発行)によると、大学卒以上の農業従事者の割合が2017年の7.7%から2024年には23.2%へと増加しています。私たちの卒業生は大学卒ではありませんが、帰省して安全と食の確保という点では同様の傾向といえるのではないでしょうか。

 

海外就労と国内就労の給与差

電気科卒業生の中には、タイで電気工として就労している例があり、月給は50万チャットとのこと。一方、ミャンマー国内で同じ電気工として働く卒業生の給与は30万〜35万チャット程度。以前は海外就労によって得られる給与が倍近くありましたが、その差が縮まりつつあるようです。今後は半年後の給与動向にも注目していきたいと考えています。

 

最後に

若者の進路選択には、経済状況や社会情勢、家族との関係といったさまざまな要因が影響します。本校では、訓練生一人ひとりの状況に寄り添いながら、将来の選択肢を広げられるよう引き続きサポートを行っていきます。

 

(参考:現地レート1円が約30チャット)