Author: Akiko Mori

技術訓練が始まって1か月が経ちました。
私たちの学校は全寮制で、訓練生たちは寝食をともにしながら学びます。ほとんどの訓練生が地方の村からやってきており、自宅を離れて生活するのは初めてという子がほとんどです。異なる地域や民族の出身者が、ひとつ屋根の下で共同生活をおくる。—それだけでも大きな挑戦です。
心のケアが欠かせない時期
訓練が始まった最初の1か月は、技術の習得と同じくらい、生活面や心のケアが重要になります。
集団生活にすぐ馴染める子もいれば、なかなか慣れずに不安を抱える子もいます。「訓練についていけない」「家に帰りたい」と弱音をはく子もいます。特に、ミャンマー語が得意でない訓練生には補講を行い、少しずつ理解を深められるようサポートしています。
仲間との関係づくり
生活の中には、清掃活動やスポーツの時間もあり、こうした日々の共同作業を通じて、少しずつ仲間との信頼関係が築かれていきます。集団生活が苦手だった訓練生が、チーム活動をきっかけに笑顔を見せるようになることもあります。またリーダーシップを発揮する訓練生もでてきます。
健康面のサポート体制
一方で、慣れない環境で体調を崩す子もいます。職員がこまめに様子を見て、必要があれば医療機関へも付き添います。夜間の対応が必要なときも、私たちはいつでも動ける体制を整えています。
この時期は雨季のため、蚊の発生が増えます。蚊帳の準備はしていますが、追加の虫よけ対策の重要性を訓練生に再確認させます。また、まれに毒ヘビが出ることもあるため、夜間のトイレの際は十分に注意するよう伝えています。
食事と予算のやりくり
食事面でも、訓練生たちからのリクエストがあります。最近の物価高騰の影響で、予算内でどう栄養を確保するかは悩ましい問題です。油をたっぷり使った目玉焼きや炒め物の回数が減ってしまい、残念がる声も聞かれます。
ある日の朝食の写真をご紹介します。以前は甘いティーミックスを出していましたが、「もっと栄養のある飲み物が欲しい」との声があり、最近はシリアル飲料を提供しています。小さな変更ですが、訓練生の声に耳を傾けながら改善を進めています。
技術だけではない、学びの場
また、この最初の1か月間は、学校生活に慣れることを目的として、週末の外出を禁止しています。ようやく外出が解禁され、訓練生たちは少し気分転換ができるようになりました。ですが、外出の際にも私たちは繰り返し伝えます。「技術を学ぶために来ているのだ」という目的を忘れず、飲酒や夜更かしを避け、月曜日の訓練に万全の状態で臨めるようにと。
私たちの学校は技術を教える場所ですが、それだけではありません。
共同生活の中で、規律や健康管理、仲間との関係づくり、困難への向き合い方など、社会で生きていくために必要な“生きる力”も育んでいきます。
1か月を過ぎ、少しずつ笑顔が増えてきた訓練生たち。これからの成長がとても楽しみです。