ピンチをチャンスに

Author: Akiko Mori

事務所に掲げたミャンマー語版SDGsゴール


 2030年までに達成すべき17の持続可能な開発目標(SDGs)が新型コロナウィルス蔓延の影響でその達成が危ぶまれている。自分たちだけでも大変なのにもともと脆弱な国や人々は飢餓のパンデミックが懸念されている。このピンチに対して一致団結しなければならないのに分断傾向もみられる。私たちは、このピンチにどう立ち向かえばいいのだろうか?



自然資本と人的資本


SDGsの共通のゴールとして、「地球を破壊から守る」「誰一人取り残さない」が浮かび上がってくる。その達成のためには、自然はただではないという自然資本の考え方を認識する必要がある。例えば、コカ・コーラ社は、製品に使った量と同じ量の水を自然に還元する「Water Neutrality」をグローバルに推進している。飲料会社が水を使うのは当たり前ではなく、水という資源をどう守るのかは、企業の自然資本のガバナンスの一部だと考えられるようになっている。 エネルギーの確保、何を作って何を食べるのか、地球の限界が近づいていることを感じ、待ったなしで私たちの生き方を根本的に変えていかねばならない。

また、長期的な視点で根本的解決を目指すためには人的資本の強化も必要である。すべての人が健康でより質の高い教育を受けられるための人的資本、とりわけより貧困地域に寄り添えるリーダー育成が急務の課題ではないだろうか。飢餓や紛争により社会的に脆弱な国、特にその辺境地は、基本的なコミュニティインフラや社会サービスが十分でない。日常生活におこるさまざまな問題や要求に対して、建設的かつ効果的に対処するために必要なライフスキルも極端に不足している。先進国でも事業拡大ばかりに目がいって職員研修がおごそかになり過酷な労働が続いたら、長期間働く人は減りいずれ組織が立ち行かなくなるだろう。

サステナビリティとは余力があればおこなう社会貢献ではなく、事業の持続性の前提条件への考え方を問われていく。政府の後押しも必要だ。SDGsに価値をつけ、社会的に支持され、良い循環をうみだしていかなければならない。


自分ごと


一番手っ取り早く、しかも効果が絶大な方法は、私たち、ひとりひとりの行動が変わることかもしれない。この商品を買うと地球環境にやさしいのか?この通勤手段は地球環境にやさしいのか?すべて、一旦、自分ごとに置き換えて考えてみたい。私もさっそく、自分の生活スタイルを変えているところだ。ベランダで生ごみをたい肥化している。なるべく地産地消を心掛ける。高くても環境や体にやさしい食品をエコバックで買い物する。毎年、植林活動に参加する。先日、事務所にミャンマー語版のSDGsのロゴ掲示をした。これからは、未来を担うこどもたちにSDGsを生活の中で意識できるようなワークショップを実施してみたい。ミャンマー国内で地球環境問題を啓発できる美しくワクワクするエコビレッジも作ってみたい。

生ごみを自宅でたい肥化



自分が立ち上げた団体のネーミングにサステナビリティを絡ませたのは、この世界の動きに賛同し行動したいと思っただけではなく、これらを通して自分を豊かにしていきたいと思ったからだ。私たち全員が地球に住む地球市民である。10年後の未来・希望を描けるよう、自分の子供や孫たち次世代の人々に残したい地球を残せるよう、そして次世代の人みずからがサステナブルな社会を作れるよう、今がピンチをチャンスに変えるときであると強く感じている。